愛と暴力の戦後とその後 (講談社現代新書) 作者: 赤坂真理出版社/メーカー: 講談社発売日: 2014/05/16メディア: 新書この商品を含むブログ (28件) を見る 赤坂真理『愛と暴力の戦後とその後』*1は取り留めのない本であるが、著者の危機意識だけはひしひしと伝わってくる。また、その危機意識に裏打ちされた魅力的な断片が鏤められているといえる。 少しメモ。 近代日本文化史の研究者である鈴木貴宇*2は、戦後の超人気のラジオドラマ『君の名は』*3を、親や親族から離れてカップルだけで世帯を持つ核家族化への欲求であり、それへの誘導であったとする。『君の名は』の主人公たちには、戦争によって、「都合よく」係累がいない。そして恋愛によって二人だけの世界をつくって郊外へと行く。ロマンティック・ラブ神話と郊外化の始まりである。 戦争で係累をなくすことは、戦後の表現作品において三通りに変奏されたように
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