彼は雨の日も風の日も休日も、書店に通う。長いこと雑誌編集に携わってきた私の周囲にも猛者はいたが、これほど書店に足を運ぶ人は滅多に見たことがない。しかも、本に溺れている、書店通いに淫しているという感じではなく、武道を極めた達人が、脱力した状態で相手に対するように書店に行き、息をするように本を購入し、読む。 そんな本と書店通いの達人が、小島秀夫という希代のゲームクリエイターだ。彼は出版業界の人ではない。最新のテクノロジーを駆使したエンタテインメントの作り手なのだ。デジタルメディアの極みのゲームと、アナログメディアの代表格である本を、物語=MEMEが結びつけ、新たな創作物が生まれる。その秘密の一端に触れることができる一冊が、このたび文庫化された『創作する遺伝子』である。 小島秀夫とは何者なのか、ご存知の方も多いだろうが、改めてご紹介したい。 入社二年目で発表したデビュー作『メタルギア』で、“ステ
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