「驚き」を生む宇多田ヒカルの新作『初恋』。自身以外のコーラスを大々的に援用した楽曲 宇多田ヒカルの7枚目のオリジナルアルバム『初恋』は、これまでの宇多田ヒカルのディコグラフィーの中では極めて異色の作品だ。もしこれを機に今後の宇多田ヒカルの作風が変わっていくのだとしたら、本作はそのターニングポイントということになる。アルバムがリリースされてから1か月近く経つにもかかわらず、(もちろんすべてのレビューに目を通しているわけではないが)あまりそのような指摘がされていないのが気になっていたところに今回の原稿依頼が来たので、まずはそのことについて明らかにしていきたい。 最初の驚きはアルバムの1曲目“Play A Love Song”からやってくる。前作『Fantôme』の1曲目“道”同様、四つ打ちのビートと、ピアノが主導するアップリフティングな旋律が印象的なアルバムのオープニングソングだが、今回の“P