原発事故を巡って、去年3月末、政府が、原子力委員会の委員長から、「深刻な事態に陥れば、首都圏を含む範囲での住民避難などが必要になる」という内容の文書の提出を受けながら公表を見送り、去年末まで情報公開の対象にしていなかったことが分かりました。 民間の有識者で作る原発事故の調査委員会は、この間の経緯について詳しく調べています。 “最悪の事態”首都圏避難も 公表されなかったのは、原子力委員会の近藤駿介委員長が、原発事故から2週間後の去年3月25日に政府に提出した、「福島第一原子力発電所の不測事態シナリオの素描」というタイトルの文書です。 近藤委員長によりますと、この文書は、当時の菅総理大臣からの要請で作成したもので、今後起こりうる不測の事態とその影響、それらを防ぐためにとるべき対策が記されています。 不測の事態としては、原子炉や使用済み核燃料プールに注水できなくなって、格納容器が壊れたり燃料が露