日本評論社 2007年10月 最近の「格差」ブーム?に当て込んだ本ではない。健康と社会格差についての長年の研究の成果をわかりやすく示した本である。この方面の話題をあつかった本を読むのは、R・ウイルキンソン「生命を決める社会のオキテ」、I・カワチら「不平等が健康を損なう」、近藤克則「健康格差社会」についで4冊目であるが、近藤氏の本ではじめて知ったホワイト・ホール研究も著者がおこなったものであるし、また有名なNiHonSan(日本、ホノルル、サンフランシスコ)研究も氏のものであるらしい。この分野のパイオニアであり、世界的な指導者ということのようである。 はじめに「日本語版への序文」といいうのがついている。そこで氏は「日本人の冠状動脈性心疾患の罹患率がなぜ低いのか?」と「その平均寿命がなぜ長いのか?」という二つの問題を提出している。これは以前、柴田博氏の「中高年健康常識を疑う」を読んだときに柴田