2022年1月15日にトンガにある海底火山(フンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ火山)が大規模噴火しました。この影響により、地震による津波とは異なる仕組みで、太平洋全体で潮位の上昇が起こりました。この現象は、火山噴火の影響としては珍しい事例です。火山噴火の影響で、普通真っ先に思いつくのは、噴火により放出された火山灰などの粒子による降灰の影響や、大気汚染の影響でしょう。そして、大噴火になると、地球規模の気候変動を起こすことも知られています。私の専門は、大気中の微粒子(エアロゾル)が引き起こす気候変動のコンピュータシミュレーションなので、火山からの噴出物による気候変動については、普段から研究対象となっています。この記事では、火山噴火による気候変動の仕組みを解説するとともに、まだ噴火直後で科学的知見は限られているものの、トンガ火山噴火について現時点でわかっていることをまとめます。 気候変動を及ぼす火