「先進国クラブ」と呼ばれ、圧倒的に欧州中心の国際機関に加盟した1964年、日本国民の自尊心は存分に満たされたらしい。当時の新聞記事には、「日本もいよいよ先進国の仲間入り」というフレーズが多用されている。それ以来、日本が先進国の中でどの程度の生活水準にあるのか比較する際には、OECDの統計が引用されるようになった。 「外国では・・・」という言辞を多用する人は、「出羽の守(でわのかみ)」とよく揶揄される。同様に、「OECD加盟国では○○なのに、日本では××」という話を聞くと、そこには「日本は先進国であるはずなのに、この体たらくは・・・」という含意が多分にあるように感じる。それはこの表現が、OECD加盟がもたらした日本人の優越感と表裏一体の関係にあるからだ。 しかし現実には、OECD自体はとっくの昔に「先進国クラブ」を卒業している。1990年代の東西冷戦の終結と欧州委員会を中核機関とする欧州統合