今年8月、イスラム国の攻撃を逃れてドホークへ避難してきたイラクのヤジディ教徒たち。 Photograph by Ari Jalal / Reuters 今年8月、まるで聖書の世界を見ているかのような光景がテレビ画面を埋め尽くした。イスラム国の攻撃を逃れ、イラク北部に拡がる不毛の荒野シンジャルの山中へ追われた数万というヤジディ教徒たちの姿である。クルド人の少数派である古代宗教ヤジディ教は、イスラム国から悪魔崇拝とみなされている。 ヤジディ教は、中東で数千年もの間生き続けてきた数ある宗教的少数派の一つである。他にも、コプト教、サマリア教、ゾロアスター教などの宗教がある。しかし、イスラム教の過激化やその他の政治的抑圧が増すにつれて、こうした宗教は先の見えない将来に不安を抱えている。 イギリスおよび国連の外交官を務めた経験を持つジェラード・ラッセル(Gerard Russell)氏は、今でもこうし