包み隠さぬ強烈なタイトルが、母親たちが心のどこかで密(ひそ)かに感じながら押し殺していたものを表しているゆえに、静かな反響を呼んでいるのだろう。しかし、本書を読み通すのはなかなかのしんどさである。基本的にはインタビュー集であって、まとめの最終章にいきつくまでに、幾人もの母親たちのどこか似通った、しかしそれぞれに微妙な色合いを持つ、白黒つけがたい逡巡(しゅんじゅん)の言葉に耳をすませて伴走することは、非常に稀有(けう)な重要な仕事と認識はできても、単純に読む側の体力を要する。後悔の証言集である。 子供を持った知り合いと話すとき、「自分の時間がゼロになるって産むまでわからなかった」「誰も教えてくれなかった」という話題になることがある。すぐに保育園に預けられれば別だが、そうでなければ、ゼロになった自分の時間をどうやって、人に頼りながら1時間2時間と作り出せるか、というあがきによってしか、もはや母