私たち大人は、自分も赤ちゃんだった時期があったはずなのに、そのときのことをまったく覚えていません。 その点、まだ三、四歳のこどもだと、赤ちゃん時代というのは、ほんの少し前のこと、それを記憶としてことばで語ることはできないにしても、身体で覚えています。 こどもっぽく人に甘えるやり方も、大人は、それをまねてやってみようとしてもかんたんにできません。 それよりなにより照れてしまいます。 その点、赤ちゃん時代を超えたばかりのこどもは、赤ちゃん的な甘え方がまだ身にしみついていますから、下にきょうだいが生まれて目の前で赤ちゃんが親に世話され、甘えているのを見たりすれば、そこに自分を重ねて、心地よかったそのころの姿にもどろうとすることも容易ですし、本人にとって心理的にさして不自然ではありません。 それに、こどもだって大きくなれば、身のまわりがいろいろ見えてきて、心配の種も不安の種も増えてきますし、そんな