「チャイメリカChimerica」とは「チャイナ+アメリカ」のことである。 ふざけた印象を与える単語だ。しかし実態はふざけたものではない。それを明快に説くのが本書である。 《経済史家の著作に語源》 この言葉の初出は、経済史家ニール・ファーガソンの"The Ascent of Money : A Financial History of the World", 2008年(邦訳『マネーの進化史』、早川書房)だという。中国研究者の矢吹晋(やぶき・すすむ、1938~)は、この単語を借りながら、米中関係に関する分析を進める。 「チャイメリカ」の内容は何か。 それは文字通り「米中関係」または「米中結託」である。世界の二大国が今や離れがたく結ばれてしまった。それは世界の人々に好ましからざる結合体となって進化しつつある。これが著者の結論である。我々は米中関係が緊密化していることを「漠然と」知っている。な