「トラック運送業界の未払い残業代は、ドライバーと法律家から狙い撃ちにされている。今後も間違いなく増える」と断言するのは弁護士の中村浩士氏(中村総合法律事務所、札幌市中央区)。同事務所にくる運送会社からの相談のほとんどが「残業代の問題」だ。経営者が適切な管理を行っていなかったばかりに、「損害金や付加金も加え、ドライバーが1年で1000万円を超える非常識な収入となり、2年分でこの倍になる請求も現実に出てきている」と警告。同様に、「トラック運送は時間外が発生しやすい業種だが、運賃が安く経費が上がっているので『未払い残業代は仕方がない』なんて事情は裁判所では通用しない。労働者に裁判に持ち込まれると会社はまず負ける」と、弁護士の冨岡俊介氏(冨岡公治法律事務所、同)も話す。 労働時間や賃金体系の規定が実態とずれている会社の場合、ドライバーから訴えられれば、どこの会社でも起こりうる現実的なリスクだという