「イメージの前で: 美術史の目的への問い (叢書・ウニベルシタス)」 現在思想的な美術史の脱構築としてまあまあの出来だが、今更読む意義があるかは微妙 まず始めに注意すべき点は、これは過去の芸術作品を扱った美術史そのものの本ではなくて、学問としての美術史に対して批判をする著作であると言うことだ。だから美術史について何も知らない人がこれを読んでもさっぱり理解できないので、そういう人はこんな本を読む暇があるなら良質な美術史の著作を読む方が先だ。美術史に関する基本知識があることを前提にして話を進める。 私は美術史に関する解説書みたいのを期待してこれを手に取ったが、それは完全な見当違いだと分かった。これは美術史という学問を批判的に検討する著作なのだが、そう聞くと悪くなさそうな本にも思える。だが実際の中身は現在思想的な語りの七面倒臭い本なので、そういう本にアレルギーのある人は読むのを止めた方が妥当です