大学院の博士課程を出ても正規の大学教員になれない“高学歴ワーキングプア”が話題になって久しい。火付け役は、07年に出版された『高学歴ワーキングプア――「フリーター生産工場」としての大学院』(水月昭道著、光文社新書)。「コンビニのバイトと非常勤講師をかけもちし、月収15万円」といった「フリーター博士」の実態が明らかとなり、社会に衝撃を与えた。 文部科学省の「平成25年度 学校基本調査」によると、博士課程を終えた人のうち、大学などの研究機関以外も含めて就職した人は66.8%。就職、進学もしていない人が18.5%、「不詳・死亡」が7%などとなっている。就職率は前年より改善したが、それでも就職できた人のうち正規雇用は52.5%にすぎない。 正規雇用の割合が低いのはもちろん、「民間企業が博士課程修了者を雇おうとしないから」という理由だけではない。大学教員を目指す若者は「ポスドク」となり、非常勤講師や