15年間も成長しなかった日本経済は、とめどなく地上すれすれをさまよえるジャンボ機だった。2年前に機長が安倍晋三首相に代わり、順調に高度を上げつつあったが、突如エンジンが逆噴射し始めた。 原因はこの4月に実施された5%から8%への消費税増税である。墜落を防ぐため、来年10月に予定されていた10%への消費税再増税を1年半先送りしたのは当然の判断だといえるが、それだけでは機体を再浮揚させられない。 日本経済という機中に巣くう景気浮揚を妨害する勢力を、有権者である乗客の手で退けなければならない。それが今回の衆院選の大義である。 流れ変えた密室での説得 ドラマは、首相が消費税再増税の先送りを決断する前夜から始まった。 11月2日午後、東京・麻布十番のワンルームマンションの時間貸し会議室。首相のブレーンで内閣参与の浜田宏一エール大学名誉教授を迎えたのは、内閣参与の本田悦朗静岡県立大学教授、若田部昌澄早