今年の10月、イタリアの裁判所が、同国防災庁付属委員会のメンバーである地震学者や政府担当者ら7人に、過失致死傷罪で禁固6年の判決を言い渡した。理由は、300人以上の死者を出したイタリアの中部ラクイラ地方の地震が起きる直前に出した「安全宣言」が、被害拡大の大きな要因になったと判断されたためである。 この判決は、世界中の科学者に衝撃を与えた。このようなケースで科学者に結果責任があると認められれば、有罪となるリスクを恐れて多くの科学者が防災行政から離れ、防災対策の質の低下を招く恐れがあるからだ。日本地震学会も他人事ではないとして、「結果責任を問われることに対しては強い懸念を感じます」「防災行政に関与することを避けざるを得なくなる恐れもあります」と声明を発表、強い反発を示した。 日本でも今年の11月に、東京電力福島第1原発事故で津波や事故の対策を怠ったため被害をもたらしたとして、当時の東京電力幹部