中島岳志「安倍内閣ではコロナ危機を収束できない。今は『石破内閣』しかない」 石破茂は変わった。彼は静かに勝負に出ている。 中島岳志 東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授 2018年9月に本サイト(論座)に掲載された論考(『中島岳志の「自民党を読む」(1)石破茂』)で、私は石破をⅢに位置づけた。(加筆の上、拙著『自民党 価値とリスクのマトリクス』(スタンドブックス)に収録) 石破は小泉内閣の閣僚として新自由主義政策を推進し、「自助努力」の重要性や規制緩和の促進を強く押し出してきた。保育園の拡充や若者世代への福祉政策を説いてきたものの、基調は自己責任論であり、リスクの個人化を追求する「小さな政府」論者だった。 価値観における「リベラル」と、お金の配分をめぐる「リスクの個人化」。彼は典型的な新自由主義者であり、小泉構造改革の延長上に位置づけられる政治家だった。 しかし、である。近年、この姿勢