「ビットバレー」の文化を守り育てるーー。日経ビジネス7月3日号の特集「失敗しないスタートアップ」では、数多くのスタートアップや協業を進める大企業を取材した。特に頻繁に訪れたのが、1990年代後半から日本のスタートアップの集積地を目指してきた東京都渋谷区。さらに印象に残ったのが、渋谷を舞台にスタートアップの可能性を探る大企業の動きである。 ビットバレーとは、IT(情報技術)産業のメッカである米国カリフォルニア州のシリコンバレーになぞらえた、東京都渋谷区の愛称だ。「渋い(Bitter)」と「谷(Valley)にデータの最小単位である「bit」を掛け合わせた造語として生まれ、1999年から2000年にかけてのITバブルを象徴する言葉として広がった。 ITバブルが収束し、東京都港区の「六本木ヒルズ」がオープンした2003年あたりを境に、急拡大したネット企業の中には渋谷を離れる動きもあったが、現在で