「スパゲッティ症候群」と揶揄的に呼ばれるのは、末期医療で、輸液ルート、導尿バルーン、気道チューブ、動脈ライン、サチュレーションモニタなど、身体中チューブやセンサーなどが体にさしこまれた重症患者の状態を言う。こう言うようになったのは、いつのころからか…。 病院で末期治療の際、スパゲッティ症候群にされてしまうと、死に逝く人と遺族・友人との、最後のお別れの言葉をかわすチャンスも与えられないまま、無念と慚愧の想いを重く残して人の死を迎えてしまう。 治る可能性があるならいざしらず、こんなバカげたことがはびこるようになったのは、医師どもが人の尊厳を教育されなくなり、単なる治療に没頭して「心」が見えなくなり、さらに患者の生命を自分の好きにもてあそべるモノのように錯覚し、金儲けを重視するようになったからである。 自称哲学者・小泉義之は、『病の哲学』(ちくま新書)のなかで、 「ICUの末期状態の病人