近頃、耳にする機会が少しずつ増えてきた「インターセクショナリティ(Intersectionality)」という言葉(日本語では交差、交差性、交差点性などとも訳される)。 11月末にその言葉を冠する日本では初めての翻訳書『インターセクショナリティ』(パトリシア・ヒル・コリンズ、スルマ・ビルゲ、小原理乃訳、人文書院)が刊行された。 この概念をめぐってこれまで培われてきた社会運動や研究について、世界の様々な地域の事例を取り上げながら解説する教科書であり、この概念を知るためには最適の書の一つだろう。 様々なフェミニズム運動、気候変動、ラップ、アイデンティティ、教育、新自由主義、経済格差、性と生殖に関するイシュー、移民・難民と監獄社会など、取り上げられるテーマは多岐にわたる。 もし、(様々な立場の)これらの人々に「インターセクショナリティとは何か?」と質問したら、様々な答えが返ってくるだろうし、時に