広大なアメリカにおける土地=街の束縛とそこからの解放は、情けない事にパッと具体的な例が思いつかないものの、これまでも何度も描かれてきて、そのたびに狭い日本で10数年しか生まれた土地にはいなかったけれど、幼心にもたまらなくそこから出たかった思いを抱いていた者としては、そこで描かれる感情は自分のものと似ていると常に思っていた。 『ザ・タウン』を見た。監督・脚本、ベン・アフレック。出演、ベン・アフレック、レベッカ・ホール、ジョン・ハム、ブレイク・ライヴリー、ジェレミー・レナー。原作はチャック・ホーガン。 ベン・アフレック監督第2作目は、ベン・アフレックの顔と演技同様、丁寧で手堅く、アメリカ・クライム・ムービーの往年の風格すら漂う作品だった。冒頭の銀行襲撃シーンから、これまで培った映画経験をふんだんに費やしたテクニカルな演出で驚く。そのほかでも、様々な演出を使い分け、意外やとっちらかる事もなく、ベ