こつこつと音が響く。青藍がじんわりと街を満たし、まばらに明かりが灯る。老若男女、色んな人とすれ違う。雑音とテールランプ。派手ではない、さりとて寂れてもいない。長らく切れたままでいる電飾がくしゃみをする。 いつまでもこんな虚言無行のパレードが続くように感じていた。 地下道に並べられる絵画達。私の原風景が額に入れられ綺麗に飾られている。この想いは誰のもの。歩を進めるたびに移り変わる景色に少し酔ってしまう。真夜中に見る内浦の青い空と青い海はどうしてこんなに遠く感じるのだろう。 空想世界が好きだった。それで満足していたはずだった。様々な世界を読んだ、多くの人を読んだ。 手を引かれ、入り込んだのは未知の海だった。身をもって実感する痛みと胸を焦がす情熱。それは文字を追ってるいるだけでは気づけない発見だった。 太宰治も芹沢光治良もエミリーブロンテもヘミングウェイも教えてくれなかった。だって私の物語は、私