「唐突ですが『御書印プロジェクト』を始めたいと思います」 それはまだ暑さの残る昨年10月の下旬のこと。荻窪のとある本屋さんに客として入った私は、じっくり本を物色した末に、1冊の本を買いました。のどの渇きを覚え、奥の喫茶コーナーでアイスカフェラテを飲みました。そして、黙ってお店を出ました。駅へ向かう道すがら、ふと脳裏に浮かんだのが、「御書印」というフレーズでした。 そこから妄想がはじまります。書店の会計時に、少々気むずかしげに見える店主に、緊張しながら「御書印ください」と声をかける。すると表情は一変。「はい」とにこやかに答えてくれる。少々人見知りで気後れしてしまう私も「御書印」を書いてくれている間、店主と自然に言葉を交わす。やがて「出来ましたよ」と御書印帖を渡してくれる。「ありがとうございます」と代金を渡す。さっきのお店でそんなやりとりがあったなら、購入した本だけじゃない、違う「なにか」と出