連日、ロシア・ウクライナ情勢がメディアをにぎわせている。ウクライナ人への特別入管措置も検討されているようだが、なかには誤解に基づく分析や日本の国益には資さない提案も散見される。 ロシア・ウクライナ情勢に応じた日本の対応の是非を入管政策のみに絞り、昨年夏頃のアフガニスタン退避政策における諸外国との比較も交えて、解説してみたい。 結論を急げば、中長期的な意味での「親日派の増加」、日本企業・日本関連団体の海外事業展開における「優秀な現地職員確保」という国益が、この解説の中核的視点だ。 退避するウクライナ人は「難民」ではない そもそも、今回のロシアによる軍事侵攻と無差別攻撃の被害のみを逃れて国外脱出したウクライナ人は、法的に言えば1951年の難民条約上の「難民」ではない。 難民条約の定義を言い換えるとこうだ。 難民とは、本国において何らかの差別(人種、宗教、国籍、特定の社会的集団、または政治的意見