扉を開けた先にいたのが、鬼気迫る顔をした、どう控えめに見ても村人ではない人だった。 ああ、23年の人生さようならと思った私に罪はないはずだ。 私の住む村は国境近くだ。 だから、村から少し離れた場所に砦がある。その砦では騎士達が隣国と睨み合いをしていた。基本的に彼らと付き合いはない。騎士達の食料は物資として帝都からやってくるし、娯楽を求めるのならばここよりもう少し離れた場所にここいらにしては大きな街があるので、皆そこに行く。街は砦の騎士達を客に大きくなったのだ。 いま砦に来ているのは、先の戦で凄まじい戦績を上げたという、救国の英雄と呼ばれる騎士達だった。 だからといって、この砦が国にとってそれほどに重要という場所ではない。 騎士は入れ替わりでやってくる。ずっと同じ隊がいては、慣れや癒着であまりいいことがなかったらしい。だから、彼らのような遠い世界の英雄さんでもこんな片田舎に配属される。任期を