5月中旬。朝から抜けるような青空が広がっていた。気温は高くもなく低くもなく、過しやすい爽やかな季節。 当時、私が住んでいたマンション前には片側2車線の幹線道路があった。深夜でも切れ間なく車が通り、平日の午前中などは渋滞で動かなくなってしまう、交通量の多い道路だ。 4階にある自宅の窓を開けると飛び込んでくるのは、道路の向いに建つ別のマンションから反響してくる、会話もできなくなる程の騒音だった。 当然ベランダに出ても見晴しは極端に悪く、わずかに見える上方の空間から、おおよその天気と空の明るさが分る程度だ。 こんなときは特に用がなくても、外に出たくなる。 私は1階の駐輪場から自転車を出し、道路沿いに走り出した。垂直に切立つコンクリート護岸で固められた川を渡り、JRのガード下をくぐり抜ける。目的地は、すこし走ったところにある公園だ。そこには多少は開けた空間と、新緑がある。 子供達でにぎわうその公園