高校の吹奏楽部を舞台にした映画と言えば、目標に向かって走る熱い青春物語が定番です。山田尚子監督の手にかかると異なる世界になりました。新作アニメ映画「リズと青い鳥」は2人の少女の揺れ動く感情を繊細にすくい取り、清涼感漂う作品に仕上げています。 -「リズと青い鳥」は人気小説「響け!ユーフォニアム」シリーズが原作。熱血青春ドラマとして描かれがちな吹奏楽部のイメージを裏切る映画ですね。 ★山田 「響け!ユーフォニアム」シリーズにはユーフォニアムを吹く久美子という主人公がいますが、今回の原作はオーボエのみぞれとフルートの希美の話が際立っていたので、2人を主人公にもう1本(スピンオフ的な)映画を作ろうと提案しました。吹奏楽部の「熱血」という要素を取り除いて2人にフォーカスしました。 -どんな点にひかれましたか。 ★山田 原作のキャラクター造形の切り口に興味がありました。少女たちの間にある羨望や嫉妬、大