今、自動車産業は“理想と現実”のバランス感を保つことの難しさに直面している。ヨーロッパで始まろうとしている、本格的なEV(電気自動車)シフトは、人間が地球上に生き続けるために本当に必要なのだろうか。そして、これを日本人はどう捉えればよいのだろうか。 2021年7月14日、ヨーロッパ連合(EU)の執務機関であるヨーロッパ委員会(EC)のフォン・デア・ライエン委員長が、ベルギーのブリュッセルにあるEC本部で記者会見し、「欧州グリーンディール」に関する法案について発表した。 この中ではエネルギー、土地の利用、運輸、そして税への対応によって、CO2(二酸化炭素)などの温室効果ガスを、2030年までに1990年比で少なくとも55%削減するという高い目標が掲げられた。 これは、2019年12月11日に発表された欧州グリーンディール政策が最終目標としている、2050年のカーボンニュートラルに向けた中間目