通りは混雑していて大勢の通行人が右へ左へ歩いていた。僕は道の端に立ち止まって、そんな人びとの流れをぼんやりと眺めていた。 そうしていると、ひとりの年配の女性が視界に入ってきた。その女性は三角の編笠を被って歩いている。都会の真ん中で編み笠を被っている人など、周りには誰もいない。老婆の編笠はとても目立っていた。ひとりだけ周囲と異なる出で立ちで歩いている老婆は、まるで別世界からやってきた異邦人のようだった。
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