白いヘルメットをかぶった儀仗兵が台北にある忠烈祠の前で向い合って立っていた。もちろん微動だにしない。じっと見ていても、動くのは瞼ぐらいで、まるで銅像のようだった。見ているとスタチューを演じる大道芸人を思い起こしてしまう。 じっとしている儀仗兵とスタチューを演じる大道芸人はかなり似ている。国家のために行うのか、エンターテイメントとして行うかの違いがあるものの、どちらもピクリとも動かない。そう考えると儀仗兵は仕事を辞めても、すぐに優秀な大道芸人になれるに違いない。ただ儀仗兵には側に世話係がついて、動かなくともハンカチで汗を拭いたりしてくれたりするのに対し、道端で行うスタチューの場合には全てを自分で行う必要があるかもしれないけれど。