鴨母寮市場の中にも、魚屋が入っている。魚屋の前にやって来ると、身から切り離された魚の頭だけが並べられていた。店頭に置かれているのだから、これは売り物なのだろう。でも頭だけをどうやって食べるのだろう。食べられるところは少ない無いように見えるし、ちょっと考えてみても、このような魚の頭の入った料理にはお目にかかったことがない。 この魚たちは虱目魚だ。「虱目魚」と書いてサバヒーと読む。名前に「目」の漢字がある通り、大きな目を持つ魚だ。生きているのなら可愛らしく見えるのかもしれないけれど、さばかれた後の瞳はちょっと不気味だ。いくつもの虱目魚の瞳が微動だにせず、虚空を眺めているのだから。