第7回「本とリアルタイム」(後編) ※前編、中編からの続きです 本をいつ出版するか?ということは、リアルタイムメディアが浸透してきている現代においては、ほんの一瞬のタイミングを狙うことが重要であるということを書きましたが、一方で、本はそもそも「非同期メディア」であるということも忘れてはなりません。本の「中」に流れている時間(本を読む人たちに流れている時間)は、それぞれバラバラである、ということです。 情報社会学者の濱野智史さんのデビュー作『アーキテクチャの生態系』(NTT出版、2008年)によれば、各ウェブサービスの実現している時間性を整理して、Twitterは選択同期(同期したい相手のタイムラインを「選択」することが出来る)、ニコニコ動画は疑似同期(違う時間にコンテンツを見ていたとしても、コメントがオーバーラップしてくるため、あたかも時間を共有しているかのような体験が出来る)と述べていま