2013年6月14日 政府の「産業競争力会議」を中心として議論されている「日本版NIH(仮称)」という構想に対して、生命の真理を探求する研究科として大きな危惧を感じます。 基礎研究の多様性を失ってよいのか? 有望な基礎研究の成果を効率的に産業化する事は必要ですが,産業への応用を実現するためには広い裾野を持ったボトムアップ型の基礎研究が必須です。それでは、なぜ基礎研究の多様性が必要なのでしょうか? それは、社会へ大きな貢献をするブレークスルーは,時流に乗った研究からではなく、誰も予想しなかった裾野の研究から生まれるためです。例えば,iPS細胞が生まれた経緯を見ても、明らかです。しかし、「日本版NIH(仮称)」構想に沿い産業化を目指した研究を偏重すれば、多様性を持った基礎研究を必ずや失う事になります。本当に、それで良いのでしょうか? 国力を長期的に支え、産業に国際競争力を与える源泉は、研究者の