忘れられる権利と個人情報保護政策 藤原 静雄/中央大学法科大学院教授 専門分野 行政法、情報法、地方自治法 本ページの英語版はこちら コンピュータは忘れない 人は物事を忘れることができる。脳科学的にはともかく、忘れることで赦し、赦される。過去を断ち切る可能性を得られる。しかし、コンピュータは忘れない。情報革命の時代、蜘蛛の糸のように張りめぐらされたコンピュータネットワークの網に引っ掛かった個人情報が忘れられることはない。その結果、例えば学生時代の愚行あるいは悪戯が、就職時にあるいは社会人になってから問題にされるといった類の話が現実のものとなっている。 忘れられる権利の提唱 個人の過去の触れられたくない情報をネットで暴露したらプライバシーの侵害である。だとすれば個人情報保護法で守ってもらえるのではないか。なぜなら、憲法の教科書には、情報化社会のプライバシー権は、自らが自分の情報の流れ、つまり