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ブックマーク / d.hatena.ne.jp/tatsu2 (5)

  • 「響け!ユーフォニアム」8話の攻めっ気 - subculic

    あるクリエイターが頭角を現す瞬間というものが存在するとすれば、『響け!ユーフォニアム』第8話「おまつりトライアングル」はまさにそれを目撃した気分になった。絵コンテ/演出は藤田春香。アニメーターとしてのクレジットは見かけていたが、『中二病でも恋がしたい!戀』(2014年)で演出デビューした経歴からすると若手の方だろうか。ふと思い出したのは京都アニメーション出身の『アイドルマスター シンデレラガールズ』高雄統子監督が京アニ時代に担当したある話数だ。それは作画監督に堀口悠紀子を迎えた『CLANNAD』番外編「もうひとつの世界 智代編」(2008年)。堀口さんの繊細なアプローチに感じ入り、演出の契機になった話数だと後に語られている。事実、今観直すと剥き出しの高雄演出に唸る場面ばかり。「智代編」は高雄統子という演出家のキーエピソードといっていい。そうした例が頭に浮かび、「おまつりトライアングル」は藤

    「響け!ユーフォニアム」8話の攻めっ気 - subculic
  • 興津由佳にみる「SHIROBAKO」のキャラクター描写 - subculic

    万策尽きず、最終話も無事放映された『SHIROBAKO』。めでたしめでたし。そんな最終話で嬉しかったのは「興津さん」と皆から呼ばれている武蔵野アニメーションの総務・興津由佳が大活躍したことだ。彩り豊かな作の女性陣にあって個人的に一番注目していた興津さん。「残業をしない主義」「昔は制作だったらしい」など設定は散りばめられていたが、クリティカルなパーツを見せないキャラクターで、そこに興味の沸く“隙”があった。まず取り上げたいのは、興津さんのデスク周り。クールビューティな外見と事務的ではっきりとした言動は、シンプルで実用性重視の配置を想像させる。しかしよく観察してみると、ファンシーな小物が目を惹くチャーミングなデスク。「意外と可愛い一面を持つ」ことがデスク周りから伺えるのだ。ハート型のマウスパッドや花柄レースのコースターなど、こだわりの感じられる品がずらっと並ぶ。とりわけ目を惹くデスク右上に鎮

    興津由佳にみる「SHIROBAKO」のキャラクター描写 - subculic
  • 「SHIROBAKO」の描く虚構と現実のバランス感覚 - subculic

    『SHIROBAKO』のバランス感覚にはいつも膝を打つ。「虚構と現実」のバランスだ。このテーマで馴染み深いのは今敏監督だろうか。混淆していく現実と夢の世界を精緻な筆致で描き、入れ子構造に収める独特の手法を用いていた。アニメーション制作にスポットを当てた『妄想代理人』第10話「マロミまどろみ」は、比較対象として興味深いエピソードだ。同じ題材を扱うにしても、今敏監督と水島努監督の「ブラックジョーク度合い」とでも称すればいいのか、明らかな違いがある。とはいえ、『SHIROBAKO』の構造は今敏監督の作風と似ている。修羅場続きで一寸先に落とし穴が待ち構えている現実、けれど夢を持ち続けたいアニメーション制作という場所へのこだわり、その交錯が見所。そんな作特有のバランスを支えているのは、隅々まで徹底して虚構と現実を対立させていること。主人公の宮森あおいを例にとってみよう。同期のタローこと高梨太郎と比

    「SHIROBAKO」の描く虚構と現実のバランス感覚 - subculic
  • 「氷菓」14話を観て――山田尚子のカッティング・イン・マジック - subculic

    アニメーションようやく始まった。否、始まっていた。古典部シリーズがアニメ化されると聞いて、楽しみにしていた挿話が「クドリャフカの順番」の料理コンテスト、「遠回りする雛」の二。特に前者はダブルヒロインが大活躍するシリーズ屈指のエンタテイメンツ。『氷菓』第14話「ワイルド・ファイア」は文化料理コンテスト回だった。しかも、山田尚子さんの演出・コンテ回という数奇な巡り合わせ。思わず身構えて観てしまった。焦点は摩耶花の焦燥と解放、古典部の仲間意識だったけれど、まさかこんな童話的な演出を仕掛けてこようとは。傑作回だと思うので、細かくみていきたい。 ■「ワイルド・ファイア」横位置(横顔)カット集山田尚子回定番の横顔から。『氷菓』でローテーションを組んでいる植野千世子作監と相まり、他の回とは少し雰囲気を感じさせる。横顔は顔の厚みや凹凸、丸みが画面に出ることになり、繊細に立体をとらないと違和感を生じさせ

  • 「うさぎドロップ」は幸せなアニメだった - subculic

    アニメーション『うさぎドロップ』の第1話を観たときの衝撃はすごかった。なにせ、次の日には原作を買いに走っていた。精緻な心情描写、柔らかな色使い、子供と大人の対比的なカットワーク、ダイキチの三十路過ぎという設定からも社会人の感情移入が加わり、これは原作を買わねばと焦らされたものだった。そして原作を読み、再度アニメを鑑賞し、亀井幹太監督以下スタッフの読み込みの深さに舌を巻く。なんて余念のない尺の使い方なんだと。丁寧に原作を膨らませ、11話しかないノイタミナの枠でほぼ原作のペースと相違ない第1話にしてしまっている。原作の4巻分にあたる“前半部”に絞ってアニメ化すると調べてわかったが、それでも24話(1巻につき6話)あるのに、目移りせず、腰を据えてダイキチとりんの出会いを描いている。“はじまり”にはこれだけ時間を使ってもいい、言い換えれば、物語上大切な挿話は手塩にかけて育てていきますよという作り手

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