レアル・マドリーの公式書籍も手掛けるスペインの大物記者で、もちろんクラブの歴史にも精通するエンリケ・オルテゴが、試合後のラジオ番組で語った。 「決勝で何が起ころうとも、このマドリーはチャンピオンズとフットボールの歴史になる」 翌日のスペイン紙『マルカ』は、1面と見開きの試合レポートの見出しでこう記した。 「神よ。降臨なさって、どうか説明してくれませんか」「マドリーはこの世界の存在ではない」 その『マルカ』紙を僕が行きつけのバルのテーブルに広げると、それを覗き込んだマドリディスタのウェイトレスが興奮冷めやらぬ様子でこう語った。 「これがレアル・マドリーなのよ! ああ神様、昨日はこれまででも一番のマドリーだったわ!」 この夜のレアル・マドリーは、思い入れある過去にしがみついていたい人たちにも、より遠い未来まで生きる人たちにも、マドリーの「今、この時」を心に深く刻ませたのだった。 90分 (C)