リンク 「陛下にも暇つぶしが必要なのはわかります」 「暇つぶし?」女王は聞き返した。「本は暇つぶしなんかじゃないわ。別の人生、別の世界を知るためのものよ。サー・ケヴィン、暇つぶしがしたいどころか、もっと暇がほしいくらいよ。(後略)」 アラン・ベネット「やんごとなき読者」は、ひょんなことから読書の楽しさにハマってしまった女王陛下の物語である。女王陛下とは、エリザベス二世のことだ。 ある日、宮殿の裏庭に停まっていた移動図書館に足を踏み入れた女王陛下は、なりゆきで本を一冊借りることになり、次の本また次の本と読んでいくうちに読書の楽しみにハマっていく。次第に女王は公務を疎かにするようになり、なにかと口実をつけて読書の時間を作ろうとする。 困ったのは周囲の人たち。なんとか女王に読書の習慣をやめさせようとするが、女王の読書熱は冷めるどころかますますヒートアップ。晩餐会の席でフランス大統領に『ジャン・ル