片頭痛患者は,頭痛発作に先立ち,皮質拡延性抑制(CSD)と呼ばれる病的脱分極に伴う一過性の前兆(aura)を経験します.症状としては一過性の視覚障害や感覚障害です.このCSDは片頭痛の引き金になると考えられてきましたが,そのメカニズムは不明でした.コペンハーゲン大学のKaag Rasmussen先生らは,最新号のScience誌に,げっ歯類片頭痛モデルを用いて,CSDが脳脊髄液のプロテオームの変化を引き起こし,頭痛に関わるタンパク質の発現を増加させること,そしてそのタンパク質が三叉神経の痛覚受容体(侵害受容体)に結合して活性化させ,片頭痛発作を誘発することを初めて明らかにしました. つまり三叉神経節は血液脳関門の「外側」に存在するため脳脊髄液に直接さらされることはないと考えられてきたのですが,それは間違いで,三叉神経節の根元ではバリアが欠落しているため,脳脊髄液中の物質が侵入して頭痛を引き