ちょっと驚いた論文です.大脳皮質基底核症候群(corticobasal syndrome;CBS)は,医学生でも症候や画像所見に明らかな左右差(非対称性)があることを知っています.しかしなぜ左右差が生じるかは専門家も答えられません.最新号のNeuol Clin Pract誌に,ヒューストンのベイラー医科大学から「CBSの左右差は発症前に,末梢性または中枢性に何らかの誘因がある」という仮説を検証した研究が報告されました.つまり病変と対側の手足,もしくは同じ側の脳に外傷などをしていなかったか?を調べたわけです. 著者らは,72名のCBS患者と同数のパーキンソン病(PD)患者の医療記録を調査し,CBS症状発現前の1年間に末梢性または中枢性の誘因があったかどうかを検討しました.この結果,PD患者では発症前の誘因は1.4%のみであったのに対し,CBS患者では20.8%と明らかに高率でした(p < 0