最新号のScience誌に「脳の洗浄の解剖学」というミニレビューが掲載されています.その肝となるのがグリンファティック系とリンパ系の連携なのですが,掲載されている図を見て,だいぶ理解が深まりました. まずグリンファティック系(glymphatic system)は,2014年にコペンハーゲン大学Maiken Nedergaard教授らが発見した脳の廃棄物を脳脊髄液とともに除去するシステムであり,神経変性疾患に関連するアミロイドβやαシヌクレインなどの異常蛋白もこの系で除去されます.最近は学生の講義などでも説明していますが,老廃物は最終的にどこに行くのかとか,免疫系はどのように関与するのかとか,自分でもよく理解できていませんでした. もう一つ重要な発見は10年ほど前に,リンパ管のネットワークが硬膜に収められていることが(再)発見されたことです.この髄膜リンパ管はもともと200年以上前に報告さ