前KYOTO EXPERIMENTプログラムディレクター 橋本裕介 *本テキストは、『KYOTO EXPERIMENT 2011事業報告書』(2012年3月発行)所収の「仕組みであると同時に運動でもあるフェスティバルの姿とは」より抜粋、加筆修正 エクスペリメントの背景 KYOTO EXPERIMENTが始まったのは2010年秋だが、その成り立ちについて少し非公式な側面も含めて振り返ってみたい。 まずEXPERIMENT(=実験)という言葉を冠したフェスティバルとなったのは何故か、そのきっかけになる出来事がある。それは2005年の晩秋だった。 当時私は京都芸術センター演劇事業「演劇計画」を企画していた。この事業は2004年に始まったもので、2年目を無事に終え、次の展開を模索している時だった。その一環として行っていた演出家のコンクール「京都芸術センター舞台芸術賞」の審査委員を務めていただいてい