戦時中に旧植民地の朝鮮半島から徴用されて強制労働に従事し、死亡した労働者や家族の遺骨74柱が今月末、韓国側に引き渡される。引き取り手がない無縁仏で、岡山県内に残された遺骨を地元僧侶らが戦後集め、大阪市天王寺区の統国寺(崔無碍=チェ・ムエ=住職)に安置されてきた。南北融和の機運を受けて昨夏に韓国、北朝鮮の団体が民間レベルで共同返還事業を始めており、団体によると、初の本格的な返還ケースとなる。 遺骨は岡山県仏教会などが1958年から70年代まで行った収集調査で、同県玉野、倉敷、津山各市などの寺を中心に約20カ所で発見された。約200柱のうち、引き取り手がなかった遺骨が74年、朝鮮半島ゆかりの「民族寺院」である統国寺へ移された。遺骨には現在の北朝鮮地域の出身者を含む可能性がある。