◇野球人 ソフトバンク・摂津正(上) 光には影が付きものだ。沢村賞の栄光の裏でソフトバンク・摂津は腰痛と闘い続けた。初の開幕投手へ仕上げの段階だった昨年3月15日のオープン戦・楽天戦(倉敷)。それまで抱えていた違和感は激痛に変わった。5回1失点にまとめたものの、そのまま、とんぼ返りで福岡市内の病院でエックス線検査を受けた。背中を押さえつけただけで痛みが走った。腰を曲げることさえ、困難な状態だった。 「オープン戦は序盤から腰の辺りに張りのような違和感はありました。それが楽天戦で突然、力が入らなくなった。あの時点で投げることに対し、怖さがあった」 祈るような気持ちで整体治療院に通った。3日で症状は軽減されたものの、いつ、再発するか分からない爆弾を抱えた。首脳陣はベテランの新垣に万が一の場合、開幕投手を任せると伝えたほどだ。だが、摂津は誰も踏んでいない真っ白のプレートにかじりつく。「無理を