2017年は、欧州の未来を占う1年になる。3月のオランダ総選挙を皮切りに、欧州連合(EU)を率いてきたドイツとフランスでそれぞれ総選挙と大統領選が控える。英国はEU離脱に向けて交渉を本格化させる。昨年12月に首相が退陣したイタリアでも、近く総選挙が予想される。各国で広がる「自国第一主義」や「反エリート」のうねりに、欧州統合の理念が試される。 ◇ フランス北東部の「鉄の街」アイアンジュ。雪を模したイルミネーションが街を飾ったクリスマスや年越しにも、浮き立つ空気は乏しかった。 影を落とすのは、鉄鋼世界最大手アルセロール・ミッタルの高炉だ。11年に火を消したまま、街を見下ろすようにそびえる。市は、下請けも含めて影響は2千人に及んだとみる。地元の女性は「レストランは店を閉じ、医者も減った。街は息絶えつつある」という。 ここに、「愛国」を旗印に保護主義を掲げる右翼・国民戦線(FN)が根を張っている。