東日本大震災からまもなく4年を迎える。被災者が移り住む高台の造成が進むが、出土した文化財の発掘事業が思わぬ壁に阻まれている。全国からの応援職員の手を借りて調査を実施したものの、出土品の歴史的な意義を決める報告書の作成が人手不足によって滞っているためだ。阪神大震災後の発掘調査でも、報告書が完成していないケースもあり、各自治体は対応に苦慮している。(高木克聡) 「釜石の歴史は確実に変わります」。岩手県釜石市の郷土資料館で2月4日から始まった企画展「発掘された釜石史-復興関連発掘調査速報-」で、市職員は興奮ぎみに展示物を解説した。 企画展では、内陸部でしか見られなかった縄文時代の大規模住宅の跡や、奥州藤原氏との関連を示す中世の陶磁器など、約150点の新発見が展示されている。一方で「発掘結果が歴史となるには何年も先になる。これから山のような報告書の作成が待っている」と市職員は疲れた表情を浮かべる。
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