2012年前半に姿を消していた恒星VVV-WIT-08の想像図。(ILLUSTRATION BY AMANDA SMITH) 恒星が短い周期で明るくなったり暗くなったりすることはあるが、突然消えてしまうことはない。だから、はるか彼方の巨星が約200日にわたって見えなくなった現象は天文学者たちを驚かせた。 それからおよそ10年、天文学者たちはさまざまな可能性を検討してきた結果を、2021年6月11日付けで学術誌「王立天文学会月報」で報告した。 論文では、恒星のすぐ近くにブラックホールがあって、その周囲を円盤状の暗い物質が公転しているという説や、塵に覆われた未発見の伴星があるという説など、現時点で可能性が残っているいくつかの仮説が提案されている。しかし、星の光がほぼ完全に消えてしまった原因はまだ解明できていない。 遠方の星の光を遮っているものの正体が、問題の恒星よりもはるかに大きな物体であるこ