「KANGEKI 間隙」 vol.10 古澤健監督最新作『生き仏2020』聖なる夜の上映会 非常時には主語が「みんな」になる。「みんな」以外は時に切り捨てられる。無理矢理そうでもしないと先に進めない状況があるからだ。 2020年4月7日、政府から緊急事態宣言が出され、全国の映画館は休館を余儀なくされた。 こんな息苦しさの中でこそ、映画を上映したかった。 映画は観た人の数だけ生まれる。正しいも間違いもなく、バラバラの健やかさがある。 古澤健さんから連絡をもらったのは、そんな時だった。 彼は映画館に映画を観に来たのではなく、映画を撮りに来た。 その後、編集を経て完成した映画を観て、おかしくて笑った。古澤映画のエッセンスたっぷりなのだ。 そしてじんときた。観客のいない、しんと冷えきったあの日の映画館に、こんな感情が射し込んでいくなんて。 『生き仏2020』は休館中だったポレポレ東中野でひっそりと