アメリカ、<風景>と<環境>アメリカ、<風景>と<環境>(「風景」への視線と、「環境」への認識) ヴィム・ヴェンダース『アメリカ、家族のいる風景』とスイーヴ・ジェイムス『スティーヴィー』 古谷利裕 ヴェンダースにとっての風景は、車のフロントグラスや列車の窓を通して見えてくるようなものとして現れる。それは、移動する人物の前に現れるものだ。人物は、そこに住んでいるのではなく、そこを通り過ぎ、あるいは、そこへ到着する。イスラエルから到着したばかりの、『ランド・オブ・プレンティ』のミシェル・ウィリアムスの前にたちあがるロサンゼルスの貧しい表情。ハンブルグから到着したばかりの、『アメリカの友人』のデニス・ホッパーの前にたちあがるニューヨークの街角。見馴れ(居馴れ)ているわけではない場所にいることの緊張感(あるいは、物珍しさ)が視覚を過敏にさせ、そのため細部までぎらついた風景はそれを見ている者に、そこから切り離されている、という
偽日記
