昔は、デートのために服を買っていた。一ヶ月に一度ぐらいしか会えなかったし、彼の服の好みは私が普段着ている感じとは少し違っていたから、彼好みの服を買わねばならなかった。いや、「買わねばならない」なんてことはないのにそう思い込んでいて、その頃の買い物は、必死だった。セクシーで、安っぽくなくて、でも買える値段で、私に似合って、という服を見つけるのはなかなか難しく、見つかればお金がなくても即買いした。でも一枚見つけても、それに合う服や靴がなかったり、コートがなかったりした。デートの直前にkate spadeで靴を見て、自分のサイズを他店から取り寄せてもらったのにその靴がすごく硬くて全然足に合わなくて、結局買わず、申し訳なくて代わりに財布を買ったりもした。 彼はセンスの良い人だったから、否定されることが怖かった。服を否定されるのは、おおげさなようだけどある意味人格の一部を否定されるのと同じことだ。セ