原子力発電を推進するために学校教育や報道機関に情報提供を行っている日本原子力文化振興財団がまとめた「世論対策マニュアル」があります。原子力発電所の相次ぐ重大事故、度重なる事故隠しやデータ改ざんによる国民の不安感や不信感の広がりに対処するため国民を分断し、メディアを懐柔する指南書の全容とは―。(清水渡) 「停電は困るが、原子力はいやだ、という虫のいいことをいっているのが大衆である」 日本原子力文化振興財団が作成したマニュアルは国民をさげすみ、愚弄(ぐろう)する姿勢をあけすけに示しています。この文書は1991年に科学技術庁(当時)の委託を受けてまとめられた「原子力PA方策の考え方」(91年報告)です。電力業界や政府機関への提言となっています。 91年報告は、さらに「繰り返し繰り返し広報が必要である。新聞記事も、読者は三日すれば忘れる。繰り返し書くことによって、刷り込み効果が出る」と、原発容認意